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サイバー遊民

日々遊んで暮らしたい。

西日本最大のハッカー集団と呼ばれて

こんにちは、Dai5です。

 2002年だったか03年頃ニュースサイトの端っこに取り上げられた小さなハッキングについての話です。
 
 調べたところ、ログは残っていませんでしたが事の中心について明確な特定を避けるため、少し脚色をして書いております。

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僕はその昔、西日本最大のハッカー集団の幹部でした。
 
 「なに中二みたいなこといってんの? 恥ずかしくないの?」
と思われるかも知れませんが、その観点は間違っておりませぬ。当時、僕はまさに中二であり、今になって思うと悶えるほど恥ずかしいことばかりをしておりました。いや、恥ずかしいことしかしていませんでした。
 
 idとパスワードを忘れて放置された活動用のホームページはまだfc2サーバーに残っていて、調べればばっちりヒットするし、黒歴史すぎて恥ずかしいのでハッカーグループの名前は伏せます。
 
 他にも中学生の時に作成した中学校の裏ホームページや、ポエムのサイトがfc2で静かに熟成されてかなり香ばしくなっているので、fc2ユーザーの方には申し訳ないのですが、僕は昨今のfc2の不祥事ではやくあの会社が無くなってほしいと切に願っています。
 fc2さんお願いです。早く僕の死に切れず広大無辺のインターネットをさまよい続けるポエムや裏ホームページなどを成仏させてお救いください。
 

ケビン・ミトニックに憧れて

 中学生の頃の僕はPCが好きで、学校から帰るとずっとネットに触れているような少年でした。みんな大好き「ネットランナー」や「悪用厳禁!本当に危ない裏ツール」といった糞みたいな裏ツール本を愛読しており、ダークサイドハッカーに憧れていました。
 その頃強く意識していたのはやはり映画の「ザ・ハッカー」だったのでしょう。
「ザ・ハッカーは」史上最悪のクラッカーと言われたケビン・ミトニックを主人公にした話であり、実話を脚色した話です。
詳しくは下記の連載を一読してみてください。

 僕は、そんなケビン・ミトニックに憧れていました。というか、ほら中ニの男の子なら好きそうな属性じゃないですか。闇属性で知的っぽい「ハッカー」っていう存在。普段はちょっとおとなしめの少年のくせに、いざPCを持たせると大活躍で復讐劇までしちゃうようなダークヒーロー。ってのが僕の理想像でした。
(ちなみに下記でも続いていくハッカーという言葉は正式にはクラッカーのことです。)
 
 実際の僕はというと、チャットサイトを立ち上げ、口コミを使って校内で流行らせ、2ショットチャットやパスワード設定できるチャットでクラスの女の子たちがする「秘密の会話」を閲覧してはほくそ笑む怪しき小太りで高橋由伸そっくりな少年でした。
 当時は携帯電話を持っている女の子は少なく、LINEなんかもありません。ほとんどの女の子が自宅のPCからそういったチャットサイトを使っていたのです。
 
 2ショットチャットは、二人が入室したら自動的にロックがかかって、外からは何を会話しているか閲覧できないというチャットですが、管理者である僕には関係ありませんでした。
 FFFTPを開いた先にある cig-bin/2shotchat/log.txtにはしっかりと何が会話されたか残っていますからね。あ、あくまで犯罪防止のために見ていたんですよ!それじゃ僕がただの覗きみたいじゃないですか!
 
 女の子間でしか語られぬ恋愛トークやちょっとえっちな話、グループ間での対立情報や、誰が嫌われているのかなどといった会話を見てはたいそう興奮したのを覚えています。
 しかし、密かに期待していた「Dai5クンってクールだよね!」「Dai5クンのこと、ちょっと気になるんダヨネ……」といったチャットが飛び交うことは一度たりとも無く、変わりにクラスでも人気のイケメン君の名前が上の例のようにそっくりそのまま出てきたということはありました。
 得も言われぬ怒りがこの身を打ち震わせました。
 
 さて、僕はそうやって謎の興奮を得ることに一喜一憂するタイプの人間でしたが、密かに情報を有効利用し、裏で校内の覇権を手中にしようとするやっかいなタイプの根性の腐りきった人間がおりました。
 
 当ブログでもおなじみになりつつある、当ブログを共同管理しているAlf(id:alf777)です。当時このチャットサイトも共同で経営していたため、こんな情報の集め方があるのだと気付くや彼は、その情報を使って人々の上に立てないだろうかと悪い知恵を働かせていました。
 
 Alfは線が細く非力ではありましたが、口達者な少年でした。
 クラス内の女子グループなどで起こっている対立やいざこざといった争いの火種を見つける事を得意としており、火種にガソリンをぶっかけて轟々と燃える様を眺めるのを唯一の愉しみにしていました。
 その、自らの手を一切汚さぬ鮮やかな手口たるや見事そのものであり、まさに現代に蘇る悪代官というべし。越後屋のようにうまく使われた友は数知れず。しかし、Alfのところには情報が集まってくるために人は情報を求めて常に彼の下へやってきます。
 
 しかし、Alfのそんな悪巧みも長くは続きませんでした。
 それは、情報の一極集中化でした。情報流出元はわからないけれど、校内で拡散されるためのプロセスとして必ず彼のところを経由するという法則を女の子グループが発見してしまったのです。
 何かよろしくない噂が流れるとすぐに「Alfが情報を流した」という暗黙の了解が成り立つようになり、「Alfサイテー!」という声がちらほらと聞こえ始めたところで彼は活動を自粛しました。
 

ハッカー集団設立

 しかし、唯一の愉しみであったその活動が失われた事により、Alfは中学生の持つあの独特な有り余るエネルギーをどこか違うところで発散させなければならなくなりました。彼が次にはじめたのは「ハッカーサイトの立ち上げ」でした。
 
 きっかけは今となっては12~3年も前の話なので覚えていませんが、たしか「技術の試験」のことだったと思います。
 僕達の通う学校では副教科の「技術」の試験は、中間が「コンピュータについて」、期末が「工作について」という形でした。この技術の教師がちょっと変な先生であり、「コンピュータ」の試験については、小論文形式で題目に沿った小論文を書くと、でき具合によっては、100点を超える点数をつけることがありました。
 僕は子供ながらに「それ9教科900点満点とかって、教育委員会か何かで決められてるんじゃないの?大丈夫なの?」と思っていましたがいまだに大丈夫だったかどうかは解き明かされないままです。
 
 「これからは立派なおとなになるためにはPCは絶対必要だからね」という親の先見の明によって個人PCを買い与えられていた僕とAlfは、親の願いも虚しく「PCは性欲を満たし、新しいエロティシズムを開花させることのできる最高のおもちゃ」と理解して夢中になっており、普段からそのへんのガキよりは使い慣れていたということもあり、PCは比較的得意でした。
 また、チャットサイトや裏ホームページを立ち上げたこともあってHTMLやperlには触り慣れていたし、VBAやC言語の基礎をかじって諦めたという経験やLinuxで自作サーバーを作ってみたりと中学生レベルにもできそうなことは一通りやってきました。
 なので、そのあたりをうまいことまとめて「専門用語」を多用した小論文を書いた僕は225点というわけの分からない点数をたたきだし、Alfは2oo点というハイスコアっぷり。あとLinuxサーバーを立ち上げるときに協力してくれたメガネくんが125点で、その他は通常の100点から100点未満の点数です。
 
 何を基準にしているのかは一切わかりませんでしたが、基本的に全ての教科でだいたい100点をとる我が母校きっての才女と謳われしミユキちゃんが、この点数に悔しさを覚えて歯軋りをしたことで、僕達はたいそうな自信をつけました。
 
 「あれ、僕たちもしかして、かなりパソコンすごいんじゃね?」
 
 調子に乗ったのです。
 
 「じゃあ、もうハッカーとして世界中のデータをぶっこぬくしかないな!」
Alfが言いました。
 「よし、ハッカーサイトの立ち上げだ!」
 
 なぜサイトを立ち上げようと思ったかは不明ですが、とにかくこの頃の僕達は活動として何かをするときは「サイトを立ち上げる」というのが当たり前となっていたのです。
 校内の友人で初期メンバーを募り、六人のハッカー集団とそのホームページが完成しました。Alfは創設者として総長を名乗り、僕は幹部としてNo2という位置付けになっていました。
 

ハッカー集団の活動

 かくして集まりし中学生のハッカーたちは、基本的には活動を行っておりませんでした。それもそのはず、ただの中学生だったからです。週に一度チャットでミーティングをして学校の話で盛り上がっておしまいです。
 
 あるとき、Alfが見たことのないハンドルネームの人間をメンバーに加えました。ハンドルネームの彼は、年齢は明らかではありませんでしたが、その言葉遣いからかなり上の人間であると僕達は推測しました。
 彼はAlfが密かにアングラサイトの掲示板で団員募集をかけていたのを見てやってきた外部の人間でした。僕達はハッキングされてアメリカの下品なポルノgifがビカビカと光るサイトをみつけだしては自分達の成果であるとホームページにキャプチャーを載せていました。彼は本当に僕達がやったと思い込んでいるようでした。
 
 それからと言うもの、六人いた初期メンバーは僕とAlf以外、会議に使っていたチャットに表れなくなりました。彼等にしてみれば、ハッカーなどはどうでもよくて身内でわいわいやっているのが楽しかったのです。変わるようにしてチャットには団員募集を見てやってきた外部メンバーが次々に加入しては顔を出すようになっていました。人数も最大で13~14人にまで増えていました。
 
 メンバーのほとんどは田代砲を打って弱い鯖を落としたり、DUKEやstormといった連続投稿ツールでログを流しては喜んでいる連中でした。チャットには攻撃対象サイトがあがり、全員でサーバーが落ちるまで田代砲を打ったりして盛り上がっていました。
 
 そんな中、時々掲示板や個人ホームページのurlがidとパスワード付きでチャットに流れてくることがありました。
 「たまたまパスワード通ったから、今日はこのサイト改変してあそぼーぜ」
 @Zeru(仮名)というハンドルネームの彼はそうさらりと言い捨てると、ビカビカとしたアメリカ女のgifをトップページに貼り付けました。
 「やっぱこれ貼り付けねーとな」
 
 こうしてハッカー集団らしくなってきたこの集団にAlfと僕は大満足しておりました。Alfと僕は持ち前の人見知りを存分に発揮し、チャットでの発言はほとんどしていませんでしたが、メンバーからは嘘で塗り固められたバックグラウンドを信じてもらっていたのか、大変尊敬されておりました。
 僕達もそれを察し、寡黙で知的な孤高のハッカーという役回りを演じていました。
 しかし、その頃の僕の成績の悪化は著しく、かつては「Dai5って意外に頭いいよね」で知られた僕も、見た目と学力のギャップが埋まりつつあったということもあり、塾にぶち込まれてハッカー集団からは遠ざかりつつありました。
 

ハッキング事件

 そんなある日、いつものように学校に行くと、Alfとその他数人が興奮した様子で近づいてきて何枚かのプリントした用紙を僕に見せました。インターネットのページをそのままプリントアウトしてきた用紙でした。

 「おい、これ見たかよ!? 俺らニュースになってんじゃん!」

 僕は驚きました。 そこには、そこそこ大きなニュースサイトのいくつかにハッカー集団のことが記載されていたのです。それも、西日本最大のハッカー集団というキャッチフレーズまでついていました。

 「え、ちょ、何があった? 本当にデータをぶっこぬいたの?」

 僕は興奮して訊ねました。

 「まあまあ、内容を読んでみ」

 そういってAlfはプリントを読むように促してきます。

 

 そこに書かれていた内容は、大手食品メーカーのホームページの一部がハッキングされて書き換えら一時閉鎖したというものでした。

 「……まじ?これ結構ヤバイやつなんじゃないの?」

 僕は早速チキり始めました。

 それもそのはず、なぜかもう西日本というところまで特定されているのです。

 次は中国地方と特定されて、広島県と特定されて、中学校を特定されて、といった順番に追い詰められていく逃亡者の絵が浮かんでは消えていきます。

 「いや、いつも串通してるし大丈夫でしょ。あとグループのチャットのパス割られてフリーダムになってるから、もう何がなんだかわかんない状態になってるし」

 「ほんとに、一ミリも関わってない?」

 「テスト近いし、最近は塾ばっかりだわ」

 その一言に中学生の僕はとても安心したのを覚えています。

 「まあ、誰がやったかはだいたい予想がつくけどな」

 と続けるAlfは僕に最後のプリントを見るよう促しました。それはハッキングされたサイトのスクリーンショットをプリントアウトしたものでした。

 僕達の周りに小さな人だかりができている中、「何だろう?」と覗き込んできた女の子二人が小さく声をあげました。

 「もう! 学校に何持ってきてんの!」

 そのトップページにはビカビカとしたアメリカ女の画像が貼り付けられていたのです。

 

 解き明かされる謎

 その後、一時期乱立していたアングラ系のサイトなどでは神様のように扱われましたが、僕達は受験や部活の最終シーズンということもあって、忙しさを極めたことから自然とフェードアウトしていきました。

 @Zeru(仮名)の行方も、そもそも@Zeru(仮名)がやったかどうかも判然とはしていません。

 活動はその後もしばらくは続いていたそうです。

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(二人で話すときは広島弁なのですw)

 

 さて、ここで一つ最大の疑問がありました。

 ページ改変をされて、ビカビカのアメリカ女のgifが貼り付けられたものの、なぜ、西日本最大というキャッチフレーズがついたのか。そして、なぜ名乗ってもいないのに僕達ハッカー集団だとわかったのか。

 

 先日、Alfと話していたところその理由が十数年ぶりに分かりました。

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ごん、お前だったのか……!