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サイバー遊民

日々遊んで暮らしたい。

映画『THE WAVE-ザ・ウェイブ-』を見た。

映画

 PrimeビデオでみつけたTHE WAVE ウェイヴ (2008)を見ました。

 

 Amazon Fire stickを購入した日を境に、狂ったように毎日映画を見るようになっているのですが、久しぶりに語りたくなる映画です。

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『THE WAVE-ザ・ウェイブ-』 

 実際にあった話をベースに作られたという本作品は、『独裁制』についての話です。

 舞台はとあるドイツの高校。外国っぽく週末にはパーティーを開き、ドラックをやる子や、頭が悪い子、頭が良い子、色々な生徒がクラスの中にはいます。

 授業の中一環として、生徒達は民主主義について学ぶため、一週間の実習を選ぶ事が決まりました。コースは「無政府主義」と「独裁主義」です。教師であるライナー・ベンガーは独裁の担当をする事に決まりました。

 ベンガーはちょっとした実習的なゲームとして、ある提案をします。

 

 「では実際に独裁を体験してみよう」

 

 自らが指導者となり、生徒達に規律を役割を与えていきます。

 

「この授業の時間だけはベンガー様と呼ぶこと」

「必ず発言するときは規律すること」

「このクラスでは白い服とジーンズを着用すること」

「このチーム名をウェイブにしよう」

 

 最初こそ戸惑っていた生徒達でしたが、すぐに与えられた役割に夢中になり、授業が終わっても「ベンガー様」と呼ぶようになります。やがて集団がまとまりはじめると、その集団が自分にとって充実できる場所なんだと思うようになっていきます。

 

 最初は授業内だけで始まった「ウェイブ」という団体は、あっという間に学校中で広まり、支持する人間の数は増えていきました。

 

 同時に授業が始まってわずか一週間の間に生徒達には多くの変化が見られました。生徒達は最初こそ規律を嫌い自由を求めて馬鹿げたことだという態度をとっていたものの、ウェイブの活動にのめりこんでいくうちに、クラス内にあったヒエラルキー的なイジメはなくなりました。逆にウェイブの人間が外の人間に虐められていると、今まで虐めっ子だった人間が、虐められっ子を助けたりします。頭の悪い子を頭の良い子が支えたり、頭の悪い子は自分の得意なことでそれぞれチームに貢献しようと考えるようになっていきます。

 

 非行も少なくなり、成績もあがります。誰もが「ウェイブ」に充実を感じているのです。そして授業が終わる一週間後には「ウェイブ」を存続させるべきだと言いはじめます。

 

 ただ、その背景には「白いシャツ」を着ることを拒んだり、チームのメンバーでない者をチームで叩くという排斥行為が行われていました。

 

 ベンガーは最後に「ウェイブ」のメンバーを講堂に集め、演説を始めます。

 

「みんなでこのウェイブを大きくして国を変えよう!」

「ウェイブなら社会を変えられる!」

 

 メンバー達はこの充実感に「その通りだ」と、まるで教祖を見るような目でベンガーに賛同します。

 

 そしてベンガーはその場にいた反対する一人の生徒を、メンバー達に捕まえて壇上に連れてこさせ、メンバーに問いました。

 

「こいつをお前らはどうするべきだと思う!?」

 

聖飢魔Ⅱファンなら「殺せー!」と言うところですが、生徒は戸惑いながら答えます。

 

「言うとおりにします。決めてください」

 

「お前らは俺が殺せって言ったら殺すのか? なぜこうなるまでに誰も疑問に思わない? これがファシズムの実態だ。確かにファシズムには良い面もある。それはキミ達も実感しただろう。規律によって平等になった。成績もあがったし、充実感も得ただろう。しかし、その実態はどうだ! キミ達はウェイブという活動の中で自分達を特別な人間だと思い込み、優越感に浸った。そこにある充実感は全てウェイブに反対する者を排斥してできあがったものだ」

 

 みたいな感じで、ウェイブが解散することになります。

 最後は実話とは全く関係なくて、映画風にどっかの話をとってつけたような終わり方をするので特には語りませんが気になるならPrimeビデオで探してみてください。

 

 ちなみに実話のほうのエピソードはこんな感じです。

この作品の背景は1967年にアメリカカリフォルニア州、パロアルトのCubberly高校で5日間にわたって実際に行われた授業である。
これを行ったのはロン・ジョーンズという歴史の教師だった。(映画はドイツが舞台)
http://en.wikipedia.org/wiki/Ron_Jones_(teacher)(英文)
当時29歳だったジョーンズは、ナチスが何故あのような状況になってしまったのか疑問を抱いた。
そこで彼はクラスでちょっとした実験を行うことにした。
「発言する時は立って意見を言うこと」「指導者役であるジョーンズには”ミスタージョーンズ”と呼ぶこと」等というシンプルなものである。

規律を嫌う子供にとっては最初は馬鹿馬鹿しく感じて反発する者もいたが、意外な反響があり一日だけのつもりだったが、続けることにした。
「ウェーブ」という組織の名前や独自の敬礼が決められた。
支持する生徒はますます増加し、200人を超えたという。会員カードも作られた。
ジョーンズは既に危険を感じていたが、実験を続けた。

生徒達は団結力が高まり、成績が伸び、非行も改めるという効果が出る一方で、組織に対する忠誠心の高まりから、組織外の人間を排除するようになっていく。
爆発的な拡がりに収拾がつかなくなると判断したジョーンズは生徒達に「大統領候補を集会で発表する」と伝え生徒を集めた。その会場で生徒達に見せたのはヒトラーの演説映像であった。
「これは実験で、君たちが指導者として崇めていたのはヒトラーであった」と伝え、この実験を終了した。
(砂嵐の映像を見せたという話もある)

見過ごせないダイアリー【映画】THE WAVE ウェイヴ【ネタバレ】

 「The Wave」にみられる三つの欲求

 この映画では三つの欲求が見られました。

従属欲求と支配欲求

 従属欲求。つまりは他人に支配されることの欲求です。

 これだけ聞くと「ドエムやんwwww」って思えるかもしれませんが、心理学的には従属欲求は支配欲求同様に人間の中で同時に存在しているものです。より強い者に支配されたいと常々人間は考えていますし、より弱い者を支配したいと考えています。これが支配欲求です。

 傷ついている人に優しくしてあげたくなるのも、支配欲求から来るのではないかといわれています。

 従属欲求と支配欲求については『es-エス-』という映画が有名ですね。刑務所と同じ環境で「囚人役」と「看守役」に分けて2週間過ごさせると、囚人役はしだいに服従して、恐怖や絶望感を感じ、看守役は性格が強気になって服従させることに恍惚感を得るようになるという話です。これもまた実話の実験を元に作られた映画です。

es[エス] [DVD]

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所属欲求

 所属欲求はアメリカの心理学者マズローの「自己実現理論」の中にある3番目の欲求です。

 マズローの「自己実現理論」にある階層モデルは以下の通りです。

 1.生理的欲求

 2.安全の欲求

 3.所属欲求

 4.承認欲求

 5.自己実現欲求

 簡単に言えば、1番の生理的な「食べて」「寝て」といった原始的な欲求を満たすと、次は2番の「安全の欲求」を意識するようになるという風に順を追って人は欲求を満たしていくというものです。

 

 その中で3番目の所属欲求は、どこか集団に受け入れられて所属することによって、一体感を得て充実感を得るという欲求のことです。

 まさにThe Waveはこの所属欲求を強く描いているものだと思います。

 

エセ科学や宗教・オカルトについて思うこと

 

 僕は宗教やオカルトを盲目的に信じられる人が羨ましいと思います。

 

 主教や手相、占いなどなど信じる人は迷いがない。

 信じると言うことは一つのぶれない基盤となり、信じることで精神が安定し、幸福や自信、場合によっては目的を得ることができる。スポーツ選手がオカルトによって、負けないメンタルを作ったりすると言う話はごまんとある。それで人間的に生き生きとするならば、宗教やオカルトはむしろ人によっては素晴らしいものであるし、必要なものだろう。つまり、信じるものは救われるのだ。
 
 それを人に押し付けたり、周りに迷惑をかけなければどれだけ良いだろうか。
 
 これは、リテラシーのある日本人の宗教や疑似科学、オカルトに対する感覚であると僕は思っています。しかし、高い確率でオカルトや宗教の押し付けはおこり、周りに迷惑をかける人間がでてきます。
 
 僕がもう二度と関わりたくないと思ったオカルトやエセ科学好き(宗教でヤバイ人はまだ出合った事がない)は、そうやって妄信を押し付けてくるばかりでなく、信じない人間を小馬鹿にするような態度をとって嫌われていました。たいていの場合、彼らは「セミナー」や「講習会」といった怪しい講義に参加し、知識を得たり知り合いを作ります。そこに属しているという安心感と充実感があるのでしょう。
 
 ただし、それは自分を否定する者をただ排斥しただけの内輪の世界でしかありません。
 
 でも、よくよく考えてみると規模は違えど日本にこういうのってたくさんありますよね。
 
 僕もこうやってフラットな意見を出しているつもりですが、自分が気が付いていないだけで何かしらに偏っていますし、所属しています。せめて、そうなってしまったとき、いち早く気が付けるように、人は簡単に染まってしまうものだと頭の片隅においておくことが大切なのかもしれませんね。