脳筋に霊感ってアビリティつけちゃ駄目でしょ

こんにちはDai5です。

グラシトール

僕は基本的に心霊現象やエセ科学、いわゆるオカルトというものを一切信じておりません。なので暗闇を恐れることはありませんし、夜に「病院を散歩してこい」といわれても特に苦労もなく行けてしまいます。恐れるとしたら、廃墟などで変なヤカラとか怪しい取引現場に出くわさないかということくらいでしょう。

「類は友を呼ぶ」ということわざにもある通り、僕の友人は同じく霊的なものにいっさい反応しない人間ばかりです。彼らと肝試しを行ったところで何のストーリー性もありません。

肝試しのときってやっぱり各キャラクターがいて欲しいじゃないですか。ほら、心霊番組でよくある

「あ、ここ………はぁー……ふうーちょっと胸が……」

そういって急に体調の悪さを訴える自称霊感あります女。

パキパキッとかいう異音にすっごい反応する人も欠かせませんし、ビビってないけど、「あ…こっち見てる……でもあれは近づかなければ大丈夫です」みたいな、さも見えてる風な人とかもいてほしい。

でも僕の友人が集まったところで「ヘイメーン! 呪いなんてあるわけないぜ、ベイビー! 俺が見てきてやるよ」とホラーやスプラッタ映画では真っ先に死ぬ黒人の役みたいな人間ばかりなので、みんな飄々と談笑して病院や廃墟を周回してきてしまうでしょう。見た目は黒人には程遠く皆薄汚いですが。

ただ、四半世紀ほどの人生を振り返ってみると、そんな僕のお友達の中にも「あーでも霊はいるよ、見えるし」と断言する人間がおりました。

そんな彼は中学高校を柔道に費やし、大学も柔道で入学をしたガチムチの柔道家でした。その身長は185cmを超え、見るからに体育会系で強いということは間違いありません。

考え方もひたむきに努力をする根性論と継続は力なり論を持っており、RPGでいうパワー全振りの見た目に即した知能の持ち主でありました。いわゆる脳筋というやつです。彼の言い放った「就活は筋肉の量で決まる」という名言を僕は一生忘れられないでしょう。

脳筋に霊感があると知ったのは、友人の家で麻雀をしていたときのことでした。大学時代、僕達は単位をそっちのけで毎晩のように中国語への余念のない勉強意欲をみせておりました。

そんなある日のこと。

明け方に休憩をとっていた僕達は、仮眠している脳筋がなんだかひどくうなされているのを発見しました。

「うん、ん……ん、あ、、うあぁ」

女の子であったらさぞボルテージが上がるであろう、あえぎ声のような声をあげる脳筋。

しかし、その野太い声に僕達の胸糞の悪さはボルテージを上げていきます。

「うるさいなあ、もう!」

そういって僕が蹴り起こそうとしたところで、脳筋は腹筋にバネでもついているかのように上半身を起こし、僕に殴りかかってきたのです。

間一髪パックステップで回避する僕。

「ちょ、危ないなあ! 何をするんだ!」

「いや、すまん。今ちょっと黒いやつに首を絞められてたから。殴った」

「え、殴った!? 黒い……えぇ?」

「あー……あそこにもいる」

そういって混乱する僕をよそに、部屋の隅においてある冷蔵庫の陰を睨みつける脳筋。近くにおいてあった雑誌を手に取り丸めて冷蔵庫に駆け寄っていきます。

「何みとんじゃ! コラ!」

怒声と共に、コギブリでも退治しているかのように冷蔵庫の陰を雑誌で叩いていく脳筋。唖然とする僕達。

「ふう、これで大丈夫だから。もういなくなった」という脳筋に僕達の疑問符はあふれっぱなしです。

脳筋に何が起きたのかを詳しく聞いたところ

寝ていると急に黒い男のような何かが自分の上に乗っかってきて、首を絞めてきた。ヤバイと思って僕達に何とかしてもらおうと思ったが金縛り状態だったので、体の自由がきかなかったし声も出せなかった。しかたがないので筋肉で金縛りを解いた。とりあえずぶん殴っといた。僕達がゲームをしていたのは見えていた。スマブラで僕のピカチュウがファルコンにぶっとばされていたのも。話している途中、ちらっと冷蔵庫の横をみたら、今度は女っぽい黒いのがこっちを見ているっぽかった。なので、とりあえずぶっ叩いといた。

僕がスマブラでぶっ飛ばされていたのも事実で驚いたのですが、何よりたとえ幽霊が見えたとしてとりあえずぶん殴るってどういうことよ?

そんなことしたら、ホラー映画なんて全く怖くなくなるじゃないですか。特に日本映画なんてほとんどそうですよ。なんだか、「ひいぃ」とかいって腰を抜かしている間にやられてしまうパターンとか多いですよね。

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しかもこんな這いつくばった幽霊にですよ。

脳筋が語るに、「こんなのいたら、長渕キックで一撃ですわ」らしい。

考えてみると、日本ホラーと外国ホラーの違いってなんだか生き方のようなものが現われていて、日本ホラーは呪いや怨念を「どうしようも無いもの」「無抵抗で理不尽に死ぬもの」という見せ方をしますが、外国ホラーって「負けるかもしれないけど一矢報いて反撃する」というのが多い気がします。

それでいうと脳筋はまさに日本ホラーに現われた外国ホラーの登場人物。怖さも何にもなくなってしまいます。

「なんか変な音とかするし電気が勝手についたり、トイレが勝手に流れたりすることもあったけどやっぱ幽霊だったん?」とさらりと言った部屋の主である友人にも驚きましたが。

肉体を鍛えると恐れるものは無くなる

「いや、幽霊とかもしいたとして、夜寝てるときとか自分のこと見下ろしたりしてたらヤバイって思わないの?」

と全く幽霊を信じていない僕が、思わず幽霊を信じてるみたいな質問をしてしまいました。

「まあ、いきなりいたらビックリするし、不気味だけど、とりあえずぶん殴ってるね。いつも」

いつもなの!?

「いや、逆にどうしろっていうんだよ。何だか寝苦しいなって思ったら、そこに変な女みたいなやつがいたとしてよ? ずっと睨めっこしてても気味が悪いし、視線感じてると気になって寝れないじゃん」

なるほど、でも話し合いとかないのかな?

てか、復讐されるとか呪われるとか不幸になるって思わないのかな?

「別に不幸とかそういったことは今までなかったしなー。話し合いはできる相手じゃないっしょ、たぶん」

なるほど、合理的ではあるね。それにしてもメンタル強すぎません?

「メンタル弱いやつは基本的に恐怖するものが多すぎるんだよ。結局のところ恐怖心って生命に関わるところにあると思うんだよ。怒りとかの部類でいうと勢いあまって暴力に出られるかもっていう。例えば上司や先輩に理不尽な怒りをぶつけられて精神を病んだり、空気を読むってことを気にしすぎて言いたい事を言えずに塞ぎこんでしまう人間がいるけれど、それは最終的に怒っている人間が暴力に出るかも、殴られたら嫌だなあ、皆に嫌われたらイヤだな群れて自分を守らないと安心できないなあってところにあると思うんだよね。俺は別に群れなくても一人でじゅうぶん強いし、その自信がメンタルに現われてる。

怒りをぶつけられたときに縮こまってしまう人間は、どこかでその人間に対して負けてるんだよ。勝てる要素がないというか。俺には筋肉って言う絶対的な自信がある。鍛えている俺は最終的にお前が怒りにまかせて暴力にうったえてきたところでかるくひねり潰すけどねっていう最終防衛ラインがある。いや、絶対に暴力は使わないよ? 常識的に犯罪だし。でも最後の最後の最後のホントに最後のところはやっぱ鍛えて技を磨いて誰にも力では負けないという自信なんだわ。根底的に絶対の自信を与えてくれるのはこの鍛えた肉体なんだよ。だから俺は冷静でいられる。この強さというのは何者からも自分を守れるんだ。勢いあまって他人を救う事もできる。メンタルっていうのはつまり筋肉なんだよ

などという独自のメンタル論を繰り広げる脳筋。

とにかく、肉体を鍛えておけば恐れるものはないらしい。それは霊や未知との遭遇であったとしても、格闘の術さえ学んでおけば大丈夫ということみたいです。

刃牙の世界かよ!

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脳筋に霊感とか与えちゃ駄目ですって絶対。

笑い話にしかならない。

この一件があって以来、僕はホラー映画を見るといつも笑いがこみ上げてきます。

金縛りを自力で振りほどき「おらぁッ!」といって、貞子や呪怨君に拳を振り上げる彼の姿が目に浮かんでしまうのです。

後日談ですが、例の一件があって以来、異音や電気が勝手につくといった不思議な現象は全くみられなくなったみたいです。

皆さんも「幽霊に悩まされているんだ!」って人がいたら一度ぶん殴ってみてはどうでしょう。

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