体験談

4月1日生まれは辛いよ。早生まれが学業にもスポーツにも不利な理由

僕がこの世に降り立ったのは折しも、桜の散り始める四月の初日でした。
神妙な雰囲気のただよう明け方のこと、日輪の輝きと共にやってきたのです。

すでに禿げあがっていた父は子供のようになって喜び、母も小躍りしたとききます。現在のようなボクサー独特の腫れぼったい目ではない、玉のように愛らしいくりくりとした目を持つ赤子であった僕は、子猫にも一切引けを取らぬその愛くるしさを持ってして、現代の奴隷とも言うべき残業サラリーマンたちの疲れと心の病を根こそぎ癒したといいます。
まさに現世に現れし救世主であると誰もがその将来に期待していました。

しかし、そんな僕がどうしたことでしょう。

文武共に大成はせず、美貌は失われ、先立つものは雀の涙です。いつしかその容貌は峭刻となり、肉落ち骨秀で、眼光のみ徒らに炯々として、かつての愛らしく期待に満ちた僕の姿はどこに求めようもありません。

何故こんなことになってしまったのでしょう。
その疑問は最近になってようやく解決されました。
全ての悲劇は、この身が生まれ落ちた時からすでに始まっていたのです。

そう、どれもこれも、全て4月1日生まれが悪いのです。

そうだ、決して僕の要領が悪いわけではないのだ!

早生まれと遅生まれ

学年の中で早い誕生日だから、「早生まれ」と考えている人は少なくありませんが、

 早生れは1月1日~4月1日生まれをいい、

 遅生れは4月2日~12月31日生まれをさします。

稀に4月1日を学年で一番早い誕生日だと思っている人がいるようですが、1学年の始まりは4月2日からです。4月1日は学年で最も遅い誕生日の早生まれなのです。

何故4月2日から学年を始めたのでしょう。4月1日~3月31日で良いじゃないですか。

気になって調べてみたところ

民法上、誕生日は3月31日の深夜24時と同時に歳をとる決まりになっているらしく、4月1日生まれが歳をとる瞬間は3月31日にカウントされるようです。

学校教育法が定める「子女が満6才に達した翌日以降における最初の学年の初めから
小学校に行く」という規定と重なって、3月31日に歳をとる4月1日生まれまでを1学年としとくかーって感じらしいです。

遅生まれは自信を失い、劣等感を抱く

思えば、僕が自分に自信がないのは4月1日生まれに原因があるはずです。

4月1日生まれの僕は、幼少時に大変な苦労をしてきました。

周りよりひとまわり小さな身体、かけっこでもそれほど速くはない、勉強も満足にできぬ。逆上がりもなかなか会得できず、二重飛びもスパイダーベイビーも会得には時間がかかりました。追い討ちをかけるように、僕の作ったミニ四駆は祖母が歩くスピードよりもゆっくり走りました。

遅生まれの子供と比べると明らかに劣る僕は、ほとんど何をしても彼等に勝つことなんてできません。

早生まれの子供達が苦労している横で、何をやってもある程度の成績が出せる。

そんな自信満々の遅生まれたちが跳梁跋扈している中、頑張ってもできない事が人より多く、僕が劣等感に塗れた幼少時代を送ってきたことは想像に難くないはずです。

 「成長は人それぞれ☆子供は自分に合ったペースですくすく大きく育つものなの」

などという世界に一つの花的オンリーワン理論を声高に提唱する輩が最近はちらほらと見られますが、それはとんでもない間違いであると声を大にして訴えねばなりません。

現実は弱肉強食であり、大人であろうと子供であろうと、集団や社会の中には必ず順位が存在します。カーストの下位にいる人間が並大抵の努力では這い上がれないのは大人社会でも示している通りです。一度ついた「カースト下位」の印象を覆すのは難しいのです。小学生~中学生とほとんど変わらぬメンバーで過ごすこの期間は特にそうで、だからこそ、環境を変えてカーストの順位ある程度を平らな時点からやり直せる高校デビューや大学デビューなんてものがあるのです。

かくいう僕も高校デビューでね。

スポーツ面で早生まれは不利

当然、早生まれは成長が周囲より遅いぶん、運動能力の向上も遅れます。それが結果としてスポーツの能力や成績を押さえつけられることになります。

これはデータにも裏づけされた事実です。

プロサッカー選手の誕生日を見てみると

4~6月生まれ…177 人
1~3月生まれ…94 人

と早生まれに対して遅生まれは約1.88倍の人数もいます。

プロ野球選手も同じく

4~6月生まれ…258 人
1~3月生まれ…124 人

こちらは2.08倍もの差です。

引用元

「同学年内において誕生月の差が子供に与える影響」

当たり前です。遅生まれの子は身体能力が高く、能力が上達しやすい。早いうちにレギュラーに選ばれ、試合に出て試合経験を多く積むことができバリバリ活躍できます。対して早生まれはずっとベンチウォーマーです。

実を言うと、僕の運動能力は小学校高学年の頃になるとクラスで1、2番を争うくらいに高い方でした。

負けず嫌いの僕は努力に努力を重ねた結果、二重飛びは誰よりも回数を多く飛べるようになっていましたし、鉄棒もアクロバットにぶんぶん回転できるようになり、小学5年生の時には地元の少年野球クラブでもレギュラーに選ばれ、手淫も小4で会得していました。

小学6年生の時にはそこそこ広島県の少年野球界隈で名の知れたエースにもなりました。しかし、もし学年が4月1日から変わるシステムで「もう一年あったら」と考えると惜しまれます。

きっと僕は広島県の少年野球界を震撼させるほどのエースになっていたであろうし、きっと中学の野球でも好成績をのこせていたはずです。その結果、名門校からいただいた野球推薦の話を、自信を持って受けていたことでしょう。

現実には中学校ではあまり成績を残せず、野球推薦の話をいただいたものの、「僕程度の人間がやっていけるはずがない」とお断りをしました。

もし、もう僕に時間が1年あり「野球で好成績を残し続けられていたなら」と今でもなかった未来を描かずにはいられません。

同じ誕生日で、たまに4月1日の誕生日である桑田真澄投手を例に挙げられることがありますが、彼は中学時代に140km近い球を投げ、高校1年生から甲子園のマウンドに立てる怪物で、僕はせいぜいちょっと野球ができる一般人です。一般論を当てはめるには、規格外すぎます。

学業でも不利

上記でも少し述べましたが、学業でも早生まれは不利です。

例に漏れず僕もあまり勉強が得意ではありませんでした。

調べてみると、これも早生まれは不利だというデータがありました。

誕生日と学業成績・最終学歴

この論文によると、小学生の3月生まれ(4月1日を含む)と4月生まれのテストの成績は、平均点が500点台のテストスコアだと、25~30点ほどの差が生まれると推定しています。

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つまりは4~5%。100点満点にすると4~5点低いのです。

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サンプル条件が同じではないので正確に比較することはできませんが、高校生でも同じことが言えるようです。

まあ、数学は20点とか取った事あるけど、あれは僕にもう一年あったとしたら、25点だったってことなんだな!

……どっちにしろ赤点じゃん。

「でも不利なのって小さいときだけでしょ?あとは差を縮めるのは努力しだいじゃん」

って思う方もいるかも知れませんが、この論文の結論は以下のように出ています。

TIMSS や PISA を用いた実証分析の結果は, 相対年齢効果が小学生・中学生・高校生それぞれ に頑健に発見され, 同じ学年の最年長者 (4 月 2 日生まれ) と最年少者 (4 月 1 日生まれ) の間には, 平均して偏差値で 2 から 3 もの学力差があること が明らかになった。 また, この相対年齢効果の大 きさが学年が進むにつれて一貫して縮小していく という推定結果は得られなかった。

つまりは、平均値を出してみると差は縮まってないってことです。

最終的な学歴においても、以下のような結論が述べられています。

これらの生まれ月の違いに起因する小中高での 成績の違い, 国私立中学校への在学確率の違いは 最終学歴の違いにも反映され, 男性の中の 4 大卒 業率が 27%であるところ, 3 月生まれと 4 月生ま れではその確率が 2 %ポイントも異なる。 女性に ついては, 4 大卒業率が 10%であるところ, 3 月 生まれと 4 月生まれではその確率が 1 %ポイント 異なる。

つまりは、最終学歴においても不利で、良い企業にも思うように入れず、低学歴低賃金のブラック企業ワーカーになりやすいということです。

早生まれのメリット

少ないですが、早生まれのメリットも書いておきます。

・期待されない

「早生まれだし、遅くて当然。のびのび育ってね★」という親が最近は多いそうです。僕は祖母に「遅生まれなんだから人一倍努力しなけれだ駄目だ」と言われてきましたが。

・成人した後に誕生日が遅くてまだ若い

遅生まれが「もう25だよーうわあアラサーだよどうしよー!」

とか言ってるとき、僕はまだ24になったばかりでした。

20とか25とかの境目になるとそういった話を聞けるので、普段は行かない同窓会などに行ったりします。

・浪人したとき、現役だとごまかせる

最初はごまかしてました。

4月1日に生まれて

4月1日前後に出産予定の方は、是非とも4月2日まで頑張ってみてください。

平均値から算出した4月1日生まれの能力は低いですよ。

ステータス振りで4月2日生まれが10振れるのに対して8~9しか振れませんし、ステータス値も上昇しにくいです。

祖母は、僕が生まれたとき「4月2日に生まれた事にしてもらえないだろうか」と頼んだみたいです。昔からそうやって4月2日生まれにしてもらったという例は少なくなかったようです。

後、昔は学年を変えてもらえたとか。祖母の話なので信憑性はありませんが。

まあ、でもだからこそ、この学年で成績評価をするという基準はちょっと改めて欲しいと思いますし、一芸が評価されやすい社会になって少しずつ評価基準が変わってきているということは良いことだと思います。

新しい職業やスキルも増えましたしね。それだけ選択の余地が増えるということは、こういった不利を取り除くことにも繋がっている気がします。

しかし、中途半端に人より優れていた部分もあるので、「もし4月2日に生まれていたら」「もう一年あったら」と考えると、もっと違っただろうなと考えてしまうのです。ただ、それだけです。

もしかすると、この「もしも」を考えてしまうことが、4月1日に生まれの辛い部分なのかもしれませんね。

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