最近グラフィックボード(以下グラボ)が高騰していることを皆さん気が付いていますか?昨年の初めからじわじわと価格は高騰していたのですが今年の初め、1月中旬ごろから爆発的に値段が高騰しました。
僕は昨年の6月に買ったばかりのグラボ(Radeon RX580)を売りました。購入した時の2倍以上の値段で売れました。グラボは映像を綺麗に処理するためのPCパーツです。主にはゲームをするために取り付ける人が多いのですが僕はほとんどやっていなかったのでw
今回はグラボの値段高騰の理由と品薄はいつまで続くのかという話。そして今ゲーミングPCの購入を考えている人へのお得に買う方法のアドバイスと、売るなら今という話をしていきます。
目次
グラボ高騰の理由はビットコインと在宅需要と製造遅延
現在のグラボ世界的に供給量が追い付いてきていません。理由としてはかなり深刻で「需要が高まっている」のと「供給が減っている」というダブルパンチで値段が高騰しています。
以下ではその理由を解説していきます。
ビットコインの高騰によるマイニング需要。世界的な供給不足に
これが主な理由です。
2021年5月現在1ビットコイン540万円www
2018年頃に200万近くまでいってからその辺が限界だろうと思っていましたが今年に入ってから700万近くまで上がっています。1枚くらい持っとけばよかった。
ではなぜビットコインが高騰すると、グラボが品薄になるのか?
それはビットコインのマイニングにはグラフィックボードの演算処理を使うからです。
まあ詳しい話はビットフライヤーのマイニングについてを参照してみてください。
まあ演算処理はCPUでもできるのですが、GPUを使った方が効率がよくグラボでマイニングを行うのが一般化しました。そして、世界的にビットコインの需要が高まっている中でマイニングブームがやってきています。見てください、この8枚刺しのグラフィックボードを
これがマイニングマシンと呼ばれるマイニングに特化したマシンです。専門的にやる人はこうやって8枚刺しで1日中これでマイニングだけを行います。業者など組織的にやっているところは、とんでもない規模でやります。そう、1人1枚とかそういうレベルではなく現状やればやるだけ儲かるので、マイニングをやっている組織は無限に良いグラボを買いたいという状態です。
よく、怪しい投資セミナー(FX自動取引とか)の矛盾で「いや、それ本当に儲かるなら人に教えずに単純に自分たちで規模を大きくしたらいいじゃん!」っていうのがよくありますが、ビットコインのマイニングがその本当に儲かる方のうまい話状態で、ある程度初期投資にお金をかけられる人は無限にグラボを増築していけば利益を出せるという、増築すればするほど儲けられる状態です。
これが主な高騰の理由でビットコインの価格が下がらない限りは、需要過多は解消されないのです。
日本ではあまり利益が出なかったが、現状は利益がでるほどの価格に
基本的にマイニングが一番熱いのは中国です。理由は電気代が安いからです。1kwにつき9~11円と日本の半分以下の値段です。日本だと22~25円くらいします。世界で最もマイニングが行われている四川省の水力発電所まわりではさらに電気代が安いみたいです。(こういった自然エネルギーは送電や蓄電コストがあわず遠くまで送電できない関係で、安く提供されているらしい)
マイニングで利益を出すのに一番ネックになるポイントは電気代です。
マイニング>電気代
になれば儲けなのですが、これまでの価格だとトントンでグラボ増設の初期費用がいつになっても回収でいない場合が多かったのですが……はい、今1ビットコイン540万円wwww一時期700万円のときとかありました。この価格だと、日本でだいたいどれだけ利益がでるのか?
GTX 1660 superでマイニングした場合
月8000円~9000円の利益(電気代差し引いて)
RX 6700 XTでマイニングした場合
月1000円~12000円の利益(電気代差し引いて)
RTX 3080の場合でマイニングした場合
月25000円~28000円の利益(電気代差し引いて)
RTX3080とか8枚刺しだと月20万くらい利益ができます。中国とかでやるともっと利益になります。やばない?
コロナの巣ごもり需要によって日本でもグラボを求める人が多くなった
ビットコイン以外でも巣ごもり需要でグラボを買う人が単純に増えました。
かくいう僕もこの時期にグラボを新調しました。基本的に休日も祝日も家にいないタイプの僕が、コロナになってから在宅勤務など1日のほとんどを家で過ごすようになりました。外で使っていたお金は、家で快適に過ごすための投資に代わっていきました。僕もDIYでPCデスクや自作PCを作ったりマイクやWebカメラを購入して環境を整えていきました。
そんな感じの人って結構いるんですよ。ほんとコロナで人の行動って変わるんですね。トレンドってあるんですよ。
これ、僕が運用していた料理系サイトのユーザー数なんですけど2年運用して30万MAUをどうやっても超えなかったのを、コロナになった瞬間アクセス数爆発して今じゃ150万近くあります。
2019年だと一日1万人くらいしか来なかったのが、今5~6万人きますからねw更新とまってるのにw
それくらい家にいるから料理しようって人が増えたんですよ。ゲームも同じです。Youtubeのゲーム配信や自作系の再生数がかなりあがり、それを見て影響された人が買いまくった感じです。これが日本だけでなく世界的におこっています。
コロナによる半導体の生産遅延
現状空前の半導体不足が起こっており、グラフィックボードも影響を受けて製造遅延を受けています。
半導体はグラボだけでなくゲーム機や自動車、CPU、スマートフォンなどの製造にも欠かせないものです。これだけ全世界的に需要が高まってきている中で半導体の確保に各社が手間取っていることが供給不足の主な原因です。
そして、半導体工場をつくるためには投資額がかなり大きくなるため中々増設には踏み切りにくいという難点もあります。現状ようやくインテルなども投資に動き半導体工場の新設の計画が動き出しましたが、まだ計画という状態なので稼働までに1年以上時間がかかると思われます。
グラボの品薄はいつまで続くのかを予想
さて、このグラボの品薄はいつまで続くのでしょうか?以前高騰した際の動きや供給不足解消という観点から予測してみましょう。
前回、グラボの品薄によって価格が高騰した時はどんな感じだった?
実は2017年後半から2018年にもマイニングブームのグラボ品薄による高騰がありました。
当時人気だったRX580の価格は2017年の発売当時は2万8千円ほどで購入できたものが、4万円後半にまで値段が上がりました。
グラフを見てもらったら2018年に上がってるでしょ。
その後半年の間にビットコイン相場は急落しました。2017年12月の時点で1ビットコインは約1万9500ドルだったが、半年後には6800ドル程度になった。イーサリアムも同様で、1月の1385ドルという高値から、475ドルまで下がっている。
そしてグラボはその後値段は元に戻り、RX580は2018年11月にRX590などの新弾の投入もあって価格は19000円台にまで価格が下がりました。ビットコインの値段が上がり始めた2017年の後半には値段が上がり始め、2018年前半に急騰してビットコインが暴落した2018年後半には価格が下がったということです。つまり上のグラフと価格は完全に連動しているんですね。
ただし、再びビットコインが高騰した2019年にはグラボ高騰は起こっていません。で、このあたりは市場予測になるのですが、ビットコインは次にいつ下がるのかという点です。
僕はおそらく2018年と同じ動きになると思います。現状ビットコインは明らかなバブルにあります。
つまり皆が持ちすぎている状態です。そしてバブル崩壊とは一瞬にして起こるもので、最近買った人は値段が下がった時点で慌てて売ることになり、それによって価格が下がったことで今まで保有していた人も売るという売りが売りを呼ぶという状態になります。それは先月と今月で赤足が見えている状態がそうだといえるでしょう。いずれ1000万円までいくという可能性も示唆されていますが、まだそのフェーズではないと思います。
そういった点でいえば今年の後半か来年の頭には値段が戻っている可能性はあります。
NVIDIAのグラボ品薄に対する対応
グラボの大手メーカーNVIDIAはこのグラボ不足の問題に様々な対応を発表しています。
GTX 1050 Ti&RTX 2060の再販売
NVIDIAは生産中止となっていたGTX 1050 Ti&RTX 2060の再販売で対応を行いました。
GTX 1050 Tiは2016年発売、RTX 20602019年の1月の発売です。位置づけとしてはGTX 1050 Tiがエントリークラス向け、RTX 2060がハイエンド向けという感じです。現在エントリークラスに位置するGeForce GTX 1650 あたりが高騰していたり在庫が不足していることもあって、再販となったようです。
このようなメモリの小さなグラボの再販に至った経緯としてはマイニング需要に対応するためです。明らかにマイニング向けではないのでマイニング用途では購入できません。
RTX2060は現状まだ日本にそれほど投入されていないのか、値段が下がっている気配はありません。
RTX 3060~の発売モデルのマイニング性能を落とす
NVIDIAは、GeForce RTX 3060よりマイニング性能=ハッシュレートを制限する機能を搭載しました。これもマイニング対策のためです。GeForce RTX 3080および3070にもこの制限を課すことで、マイナーが買い占めることを防ぎ、より多くのゲーマーに製品を届けたい意思を固めています。
ただし、制限解除ドライバやパッチなどによって解除されて運用されているのが現状です。
マイニングをやる人で情報弱者はさすがに少ないので、現状あまり対策にはなっていません。
NVIDIA GeForce RTX 3060のマイニング制限解除ドライバ「470.05」は本当に制限を突破できるのか検証してみた #RTX3060 #マイニング
半導体不足に動き出したインテル
米インテルは、3月23日に新経営戦略でアリゾナの半導体新工場に、2兆円もの巨額を投入するという発表をしました。
これまで世界一位のファウンドリーとなった台湾積体電路製造(TSMC)がほとんどの半導体製造を請け負っているのに対して、グラボや自動車、PS5などが半導体の製造ラインを圧迫してきました。この需要過多でインテルの半導体事業を実質的な「国策」として後押ししているのが、バイデン政権です。
この国策として動き出したインテルの新工場が稼働すれば、ある程度市場の半導体不足は解決されると思われます。
ただし、まだ工場ができていもいないので安定して供給されはじめるまでには2~3年かかると思います。
長ければ2022年も値段が戻らないかもしれない
たぶん今年か来年でビットコインのマイニングブームは落ち着くと思います。ただし、そこですぐに値段は下がりません。結局値段がじわじわと上がっていったように、下がるのもじわじわと下がっていきます。前回も需要と供給が追い付いてから値段が下がっていくまでは半年かかりました。つまり、今年中に供給が追い付いたとしても転売勢が落ち着いたりして価格がさがるまでには半年はかかるのです。
つまり、来年の春先までコロナの状況や半導体の需要とビットコインのマイニングブームが続くと、値段が下がるのは年の暮れの方になります。そしてコロナは世界的に見てもいつ落ち着くかもわからない状態です。
2022年版例のグラボに期待
前回のマイニングブーム、値段が下がった2019年頃に現れたのが「例のグラボ」と呼ばれるマイニング専用グラフィックボードです。マイニングブームが終わって事業撤退した中国勢が焦って手放したグラボが市場に出回ったのです。やつら2000枚~5000枚とかっていう規模のグラボを稼働させるので結構出回りました。
RADEON RX470とかRX570とかですね。
これ、モニター出力端子(HDMI)がついていないマイニング専用のグラボで、RX470は5000円くらい。RX570は2000円くらいで購入できました。HDMI端子をはんだ付けして無理やりモニターを付けるとか、処理はグラボでやって出力はオンボードの端子で行うとか色々遊べますが本来2万とかするものが格安で手に入るので結構面白いパーツでした。
価格が下がったらこういうのも出てくるのでちょっと楽しみではあります。
今ゲーミングPCの購入を考えている人へのアドバイス
グラフィックボードはゲーム実況やゲーム配信、そして動画編集などでも欠かせないパーツです。今年中に「ゲーム配信をスタートしようと思っていたのに!」とか「動画編集に力を入れようと思っていたのに」と悔しがる人もいるかもしれませんが、あきらめるのはまだ早いです。
グラフィックボード単体でという話だと高いのですが、BTOパソコンやゲーミングノートPCだと値段の変動が遅く一部割安で購入できるのでそちらを検討するのも良いかもしれない。
デスクトップならBTOで買え!価格の変動が少ないぞ
例えばツクモ電気のBTOパソコンG-GEAR
単純に書いてあるスペックだけで計算すると
- タワー型ケース:1万円くらい
- i7-11700(8コア16スレッド):4.5万円くらい
- GeForce RTX 3070 :7~9万円くらい
- メモリ16GB RAM :1.5万円くらい
- 1TB SSD(M.2 NVMe Gen4) :1万円くらい
- DVDマルチドライブ 3000円くらい
- 750W 80+GOLD電源 8000円くらい
- Windows10 HOME:1万円くらい
- マザーボード:1~2万円くらい
- 他(配線・組み立てなど):3万くらい
- 合計:21万円くらい
うん、適正価格じゃない?
ちなみに今現在のRTX 3070はオークションやメルカリなどで12.5万~16万円くらいで取引されているが、もともとの店頭販売価格は7~9万円。そう考えるとBTOで組み込まれている価格はかなり適正価格だといえる。
おすすめゲーミングPC
ZEFT G17E
スペック
- CPU:Core i7-11700
- グラフィックス:GeForce RTX 3070 8GB GDDR6
- メモリ:16GB DDR4-3200
- ストレージ:1TB NVMe SSD / HDD 無し
249,800円(税抜)
BTOショップのSEVEN上位の常連である「ZEFT G17E」です。CPUも最新corei7の11世代。RTX 3070 8Gというバケモノスペックです。
G-Tune TD-G
スペック
- CPU:Core i7-10700
- グラフィックス:GeForce RTX 3070 8GB GDDR6
- メモリ: 16GB PC4-21300
- ストレージ:512GB NVMe SSD / HDD 2TB
186,780円(税込)
mouseコンピュータの人気モデルです。発売時2020年10月の価格から下がる傾向があったのですが、値上げしてもどの価格に戻りました。ただ、まだ単品で買うより全然お得です。16万とかでGeForce RTX 3070買うならこれ買うべきです。
デスクトップは諦めろ!ゲーミングノートPCは値段の変動を受けていないぞ
自作PCやBTOPCの方が高スペックで値段が安いというのが普通なのですが、この現状だとゲーミングノートを購入した方がお得です。通常同スペックだと+5万ほどノートPCの方が高いのですが今はたぶんノートの方が安いです。
ASUS TUF Dash F15
アマゾンでも売っていますが、直販のasusストアで購入した方が安いです。
ASUS TUF Dash F15 FX516PE (FX516PE-I7R3050TG)
これとか直販限定でおすすめです。
HP OMEN 15
HPのOMENシリーズ。
16~19万円台でRTX2060とハイスペック。
これも公式サイトから購入すると良いでしょう。
ドスパラ GALLERIA XL7C-R36
GeForce RTX 3060 Laptopを搭載
最大グラフィックスパワーが130Wと高いRTX 3060で、Core i7-10875Hの高性能CPUを搭載し、色域が広めの144Hz駆動液晶を備え、バランスのとれたミドルスペック・ゲーミングノートPCです。
緒と前までは15万円台だったので若干値上がりしてます。
売るなら今!値段が上がっているグラボの取引価格一覧
高騰しているということは、逆に言えば売るなら今のタイミングということでもあります。
現在正直、普通の人なら買いたくない価格なのですが、どうしても買いたいという人もそれなりに存在するのです。
では、主要なグラフィックボードのオークションやメルカリで取引されている価格一覧を載せておくので売るときの参考にしてみてください。
型番 | 2021年 売却価格 |
GeForce RTX 3090 | 350000円 |
Radeon RX 6900 XT | 170000円 |
Radeon RX 6800 XT | 150000円 |
GeForce RTX 3080 | 250000円 |
Titan RTX | 300000円 |
Radeon RX 6800 | 150000円 |
GeForce RTX 2080 Ti | 150000円 |
GeForce RTX 3070 | 150000円 |
Titan V | 250000円 |
Radeon RX 6700 XT | 100000円 |
GeForce RTX 3060 Ti | 150000円 |
GeForce RTX 2080 SUPER | 93000円 |
GeForce RTX 2080 | 90000円 |
Titan Xp | 70000円 |
Titan X | 70000円 |
GeForce RTX 2070 SUPER | 75000円 |
GeForce GTX 1080 Ti | 85000円 |
Radeon RX 5700 XT | 100000円 |
GeForce RTX 2070 | 78000円 |
Radeon VII | 170000円 |
GeForce RTX 3060 | 95000円 |
GeForce RTX 2060 SUPER | 70000円 |
Radeon RX 5700 | 110000円 |
GeForce RTX 2060 | 65000円 |
GeForce GTX 1080 | 60000円 |
Radeon RX Vega 64 | 75000円 |
Radeon RX 5600 | 71000円 |
GeForce GTX 1070 Ti | 40000円 |
Radeon RX Vega 56 | 83000円 |
GeForce GTX 1660 Ti | 55000円 |
GeForce GTX 1660 SUPER | 60000円 |
GeForce GTX TITAN X | 57000円 |
GeForce GTX 980 Ti | 34000円 |
GeForce GTX 1660 | 33000円 |
Radeon RX 590 | 43000円 |
GeForce GTX 1650 SUPER | 35000円 |
Radeon RX 580 | 40000円 |
Radeon RX 570 8GB | 40000円 |
Radeon RX 470 | 24000円 |
GeForce GTX 1650 | 23000円 |
GeForce GTX 1050 Ti | 18000円 |
Radeon HD 7970 | 12000円 |
BTOパソコンのおすすめとかでも紹介しているGeForce RTX 3070なんて7万円ほどのグラボなのに、メルカリやオークションだと13~15万ですからね。
*2021年5月の価格です。
Radeon RX580を売った。今はお金に換えるフェーズ
はい、今回僕はRX580を売りました。購入時は1.7万円新品でした。たぶんAmazonなどで転売するともう+2万くらいになるかもしれません。
僕は2020年の6月に購入したのですが、ドラクエ11sをPCでプレイしてから全くグラボを使うような作業をしていなかったのと、動画編集にも期待していたのですがRXシリーズは正直あまり動画編集に影響を与えないということを後から知って「GTXとかにしとけばよかったな」とか思いつつとりあえず売ることにしました。
まあゲームがやりたければ安くなった時にまた買うか、ゲーミングノートを買えば良いだけの話なので。
正直今使っていないので。高く売れるならお金にしておいたほうが選択しが増えると思い今回はお金に換えました。価格が崩れてから売っても賢くないですしね。
というわけで今グラボが高く売れるので売るのもありです!!